バイクパッキングで自転車はもっとおもしろくなる。
投稿日:2017年10月11日
投稿者:いね
バイクパッキングとは、自転車に専用のバッグをマウントしてキャンプ道具やアウトドアグッズを放り込んでツーリングするというもの。キャリアにサイドバッグをつけてツーリングするというスタイルは昔からありましたけれど、バイクパッキングのポイントはできるだけ軽い装備で、しかもリアキャリアやフロントキャリアなどを使わずにじかに自転車にバッグをマウントするというのがミソ。
これにより積載性を考慮されていないピュアなロードバイクでも大容量に荷物を積んで、移動が可能になるのです。また、キャリアを使わない分総重量も軽くな るので軽快にロードバイクの優位性を活かしたツーリングが可能になるのです。
もともとはアメリカが発祥。サイドバッグをつけて走るにはあまりにもせせこましい山道を荷物を積んで走るにはどうしたらいいか?という問題を解決するために生みとされたのがバイクパッキングなのですが、これがMTBのみならずダボ穴がないロードバイクとも好相性なためここ数年で爆発的に普及したというわけ。MTB人口が少ない日本では、ロードバイクでパッキングしている方がほとんどですね。さらにその流れを受けて、軽快さを失わないために軽さ特化したサドルバッグや完全防水のもの、リュックとして使えるものなどまだまだ進化が止まらない分野でもあるのです。
自転車の可能性を広げるバイクパッキング。
バイクパッキングで何をするかは人それぞれ。色々な楽しみ方があります。釣り道具を詰め込んでフライフィッシングに行ってもいいし、クッカーやコーヒーグッズを持っていって山ランチするのもいいかもしれません。輪行袋と着替えを押し込んで、電車+自転車で旅するのも味わい深いかもしれませんね。
でもやっぱり王道なのはキャンプライドでしょう。一泊二日のキャンプ道具を詰め込んで、街の喧騒から逃れるように自転車を走らせ、自然の中へ潜り込む。クッカーでプチ贅沢な食事をして、上を見上げれば満天の星空。夜のとばりを全身で感じつつテントに入って、持ってきた文庫本のページをめくり、うとうとしてきたら、逆らわずに眠気に身を委ねる。しおりが全然動いてなくても気にしない。そして朝日とともに目を覚ます・・・みたいな素晴らしい体験がパッキングアイテムと小さじ一杯の勇気があればできるのです。
で先日実際に、八幡平まで行ってきました。下はその時のレポートになるのですがキャンプライドの醍醐味を少しでも感じいただければと思います。
狼煙は一週間前からあがっている
自動車でキャンプ行くのであれば保険でこれも持っていこう、といった最大公約数な考えは通用するかもしれませんが、自転車だとそうはいきません。
スペースは有限です。何を持っていくか、ではなく何を削るのか?というアプローチが大事。そしてどんなパッキングスタイルでいくのかー?これを考えるところからキャンプライドは始まっていて、あーでもないこーでもないと詰めるのが一つの面白さでもあります。さらにプラン内容や季節を考慮して、頭をこねくり回して最適解(だと思うもの)を導き出せた時は、テトリス棒で4ライン消しをした時のようなカタルシスを感じること請け合い。
それから装備品のピックアップは前日ではなく、一週間くらい前に済ませておくのがベターです。急にあれが必要ということになっても、余裕をもってAmazonでポチっとすることができます。実際にあった話ですが、どうしても朝食にホットサンドが食べたくて3日前にホットサンドメーカーをamazonで注文。キャンプ出発後に自宅に配送。着くか着かないか微妙なラインであることは承知の上でしたが、このときほど地方に住んでることを呪ったことはない。
さて、今回のライドのポイントを洗い出すとこんな感じ。
- 日程: 一泊二日
- 場所:岩手県八幡平市
- 実施日:9月下旬
- 参加人数:7名
- 天候:最高20度/最低10度前後、晴れ。
- 食事は持ち込み自炊 / キャンプ場近くの商店で買い出し
- キャンプ場には水場・ゴミ捨て場有り
- * 朝ごはんはホットサンド
で、こんな感じのアイテムを持っていくことにしました。
アウトドア初心者のレシピなので、まだまだブラッシュアップ可能かとは思いますが参考までに。
レインウェアを持っていこうと思ったのですが、雨とは無縁の予報だったので今回は割り切ってウインドベストをセレクト。
枕も大事で、これはNEMOのFILLO ELITE。軽くてコンパクトなのはもちろんですが、スエード調の心地よい肌触りが快眠を手助けしてくれます。もちろん洗濯もOK。これを使う否かで床に就いた時の幸福感が変わります。
今回の夕食は焚き火台を使う予定なので、クッカーは不要なのですが、時々のみたくなる白湯用に持って行きます。また焚き火台ですが、今回お客様がもってきてくれるのはsnowpeakのやつ。剛性も高いし、燃焼効率も素晴らしく世間様の評判は上々のようです。さらに畳むと自転車にギリ積載できるのもグッド。暖を囲むと俄然キャンプは面白くなります。今回は2つ使用する予定。炭は現地で入手。
ビンディングシューズではずっと過ごすのは拷問に近いものがありますから、サンダルも携行します。一時期キャンプライドに最適なサンダルを探すべく、色々な靴屋さんにいきましたが、作りはシッカリしてる。でもどれも重い。この重さが許容できなくていろいろ物色してましたが、最終的に行き着いたのは100均のサンダル。左右で130gと圧倒的な軽さで携行するのに苦になりません。
しかし嵩張るのでサドルバッグにバンジーコードで外付けします。万一ライド中に落としても100円なのでダメージは皆無。
ちなみにK氏が愛して止まないmont-bellのソックオンサンダルは左右で366g。重要な事なのでもう一度いいます。366g。べべつにて勝ち誇ってなんあk。。
今回はランタンを持参しましたが、自転車乗りならサイクルライトを使うという手もあります。ライト部分にビニール袋を被せて光を拡散させれば簡易的なランタンに早変わり。できるだけ荷物を削りたい場合にはやってみてはいかが。
それから宣伝っぽくなってしまうのですが、つい先日発売されたKNOGのPWRライトがキャンプライドにはマストなアイテムになってくれそうです。今までのライトの概念を覆す拡張性の高さが特長。
なぜ、アウトドアと相性がいいのかというと、バッテリーとレンズが別体になっているのがポイントです。レンズを外し別売りのアクセサリーを使うと、LEDランタンとして、はたまたヘッドライトやスピーカーなどにも早変わり。もちろんモバイルバッテリーとして使うこともできます。レンズも600lm/1000lm/1800lmの三種類、バッテリーも3350mAh/5000mAh/10000mAhの3種類用意されていて、使うシチュエーションに応じて取っ替え引っ替えすることも可能。さらにPCと繋いで専用ソフトを使えばランタイムやフラッシュパターンなどをカスタムできたりと、今までのライトはなんだったのかと思えるような拡張性の高さがウリとなっています。詳しくは動画を見て下さい。ワクワクすると思いますよ。
今回使用するバッグたち
上からメインストレージのサドルバッグ。 レギュラーサイズで17L入ります。そして縁の下の力持ちフレームバッグ、重いものはできるだけこいつに入れる重量バランスが崩れないようします。最後にハンドルバーバッグ。今回はアクセサリーポケットと本体の間にマットを挟んでサドルバッグができるだけ膨らまないよう配慮しました。また、スマホや財布な頻繁に取り出すものはアクセサリーポケットに。
装着イメージです。今回自分のマシンを撮り損ねたので以前のものを載せておきます。大体似たような感じです。
ペダルはゆっくり廻すもの。
トレーニングで走るときは、サイコンとにらめっこしながらあくせく走ったりするもので、乗らせれている感がどうしても拭えないですが、こういう時はどーんと肩の力を力をぬいて走るのです。流れ行く景色を五感で感じながら、日常で堆積した垢という垢をペダルを回しながら根こそぎ落としていきましょう。
-今回は当店集合。うちのお客様はサイドバッグスタイルが多め。
市街地の混沌を抜けるまでは辛抱が必要ですが、それも10kmくらい。滝沢市に入ると視界が一気にひらけます。ここでテンションがギア2ndに入るわけですが、さらに分け入って八幡平市に入ると緑も濃くなり、岩手山もスケールアップ。遠目からでも岩手山の岩肌の質感が感じ取れるくらいに透明な空気。さらに我々の気持ちにお天道様も同調してくれたようで、上を仰げば尊し快晴。全てが今日のために存在してかのように錯覚しだすとギアが3rdに入った証拠。
松屋でご馳走様も言えないような小心者が突如、岩手山に向かって「のんちゃーん」と連呼したり、面白くもないのにニヤニヤ後ろをチラチラ見たり、横についたかと思えば、お尻を掠め取るような謎の挙動をした後に「ヘヘ」とか言ってスパートかけ始めたら注意が必要です。
さらに症状が悪化すると何の儀式なのか、太陽のちからを両手に集めてエクスカリバーを振り下ろすような仕草をしだしたりするので、安全な運転ができるよう周りがサポートしてあげましょう。
さて、偶然見つけた秋祭りに寄り道しました。予定はあくまでも予定で、こういったアドリブを楽しむのも大切です。出店の焼き鳥に舌鼓を打ちつつ、ぶーらぶら。ビールを飲みたい気持ちを鎮めて再出発。
時折流れてくる肥やしの匂いに一喜一憂してる間に妻の神キャンプ場に到着です。
勇壮な岩手山に抱かれながら、直ぐ側には清流があって川のせせらぎが気持ちいい。さらに近くに温泉場もあって体を浄化することもできる。最高のロケーションです。余談ですが、この川は旅猿でジミーちゃんが体を清めていた伝説の川でもあって、今回このキャンプ場をセレクトしたのもジミーちゃんにあやかりたりという不純な理由が少しあったりします。この日は、翌日平日ということもあってからほとんど貸し切り状態。キャンプ場を独り占めしたかような開放感。夜も羽目を外さない程度にワイワイできそうです。
後発組も合流してテントも設営して、残すはディナー。今回は近くのスーパーで炭やら肉やら魚やらを揃えることができたので、豪華なディナーになりそう。もちろんお酒もね。
日中は天気に恵まれて暑いくらいでしたが、夜ともなるとさすがに寒い。各自防寒着を羽織り、炭を起こして急いで暖を求めます。
火おこしでその人の山での戦闘力が分かるといいといいますが、皆さんレベルが高い高い。私が加勢したら足を引っ張るだろうと配膳係で場に貢献しようと思ったら、別の方が手際よく皿やら橋やら準備。では、肉や野菜の下準備はどうかと思っても、既に手を付けられてて為す術なし。結局、写真をとりまくってお茶をにごしておきました。
炭を囲んで体をあたためながら、飲む日本酒はほんとうに絶品。お肉はいわずもがな。でも今回の一番は鮭のホイール焼き。まろやか、もやしもしゃきしゃき。
それからお客さん持参のきゅうりの漬物が美味。塩味、酸味が織りなす複雑性が、単調な味付けの焼肉で持て余しぎみだった味覚を揺さぶる。ものによって酸味としょっぱさのバランスが微妙に違うのも機械的でなくてよい。食感はいわずもがな。きゅうりそれぞれの個性に思いを馳せながら、お米の上にのせて食べるとさらにお箸が進む。普段、単調な食事しかしてない私にはこういう複雑な食べ物がたまに食べたくなるのだが、これはうってつけなのでした。別名:殺人きゅうり。
あさは日の出とともに。
といいたかったのですが、あいにくの曇り。予報では晴れだったのになあ。隣に川が流れているのもあって湿度も高くテントも結露気味。寝ぼけまなこを擦りながら歯磨きをしていると川の方から子供のはしゃぎ声が。ちょっと近づいてみます。
子供にしては随分大きな服が脱ぎ捨てられていますね。
いい年した大人あるいは少年の心を宿したエルフ達でした。自然は大人を童心に返すというのは本当のようですね。水温もかなり低いはずなのに、嬉々としてはしゃいでいます。私は、ここまで心のたがを外すことはできず。。ちょっと羨ましい。
まるで水の精霊。
川で洗顔。気持ちよさそうです。
とったどーの声。取ったのは魚ではなく、帽子のようですが、ともかく朝から精の出るお二人です。
さてさて朝食です。ホットサンドやサンドイッチといった簡易的なものでしたが、山で食べるものはなんでも美味しいですね。山の中では誰もが三ツ星シェフというのは本当か。グレープフルーツが乾いた体に沁みわたって、バイタリティを与えてくれます。
さあ、撤収準備を終えて後は帰路につくだけ。岩手山に後ろ髪を引かれる思いでキャンプ場を後にします。途中、西根の道の駅でお客さんに遭遇。こんな所で合うなんて世の中狭いねえ、なんて話しながら今から弘前まで行くそうで大学生の行動力には感服するばかりです。いってっらしゃーい。
大人だからできる、ぼうけんを。
とまあ、振り返るとこんな感じのハイライト。今回みたいにグループでいくのも楽しいですが、ソロもソロなりの楽しさがあります。社会人ともなると互いの予定が合うことなんて中々ありませんからね。寒さが増してきてシーズン的には厳しくなりつつありますが、まだ間にあいますよ。
大人になって仕事や家族サービスに忙殺され気味で、久しく「ぼうけんのしょ」を開いていないあなた。思い立ったが吉日です。地図を広げて、ルートを決めて、子供に戻ったつもりで冒険に出かけましょう。もちろん作戦はガンガンいこうぜ、でね。
あずまやにて