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よみもの

いざ、パン活 。

投稿日:2016年06月6日

投稿者:いね

パンかつ

グリンズ店内。
「もうパンの季節だね」とはパン屋さんのM氏。
「ですねぇ」
とパンに季節や旬というものがあるのかよく分からないまま、相槌を打つ私。ふと春のパン祭りというワードが頭に浮かぶ。確かに、冬のパン祭りとは聞いたことがないし、夏はパンの売上が落ち込むというのは耳にした事がある。旬というか食べごろ、もしくは食い気が高まるのは確かに春なのかもしれない。

「前のやつまたやらない?」と目をキラキラさせながらM氏。
前のやつ?と一瞬考え込んだが、あ〜あれかとすぐに合点。前のやつとは去年記事にもした「盛岡・雫石のパンをめぐる冒険」のことである。盛岡市や雫石のパン屋さんを巡ろうぜ、自転車でな!!という単純極まりない企画だったのだが、有り難いことに参考にさせて頂きました、などと何人かのお客様からお話があって、最終的にはやって良かったと思っている企画である。M氏はその第二弾をやりたいといっている。前回はこちらから無理を承知でお願いしたのだが、今度はM氏からお願いされるとは思いもよらなかった。
「こちらこそお願いします」
と恐縮しつつ、気になるパン屋さんピックアップしときますね、と付け加えると
「もう大体イメージできているんだよね」目をキラキラさせながらM氏。
詳しくお話を聞くとお店はおろか、ルートまでほぼ出来上がってるではないか!ありがたや、ありがたや。
パン屋さんが言うのだから間違いないと、異論をはさまずに今回はM氏主導のパン巡り。つまり「パン屋さんが気になるパン屋さん」をめぐる冒険というわけである。下が今回のルート概要。

  1. 盛岡生食普及会
  2. ふかくさ
  3. コシニール
  4. ワーク小田工房
  5. ニージュ

1.盛岡生食普及会

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入るのにちょっと尻込みしてしまうような歴史を感じさせる建物。外観からは中でパンを売っているなどと分からない。看板もなどといったアピール的な要素はほとんどないので、傍から見るとるただの歴史的建築物である。私だって何十回とこの道を通っているが、今の今までパン屋さんだとは知らなかった。厳密に言うとパン屋さんではなくパンも販売している食料品店、というのが正しい表現かもしれない。

店内に入ると時計の針が逆に進んでる感覚におそわれる。子供の頃よく通っていた色褪せた駄菓子屋を思い出す。店内のライティングは暗めで、少し雑然としているれど、そこに懐かしさを感じてしまう。

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扉のキスマークのイラストも何とも味わいがある。こちらでは店員さんおすすめのあんパンと人気のロシアビスケットを購入した。すぐには食べない。とっておきの場所があるのだ。

2.ふかくさ

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盛岡生食普及会から少し足を伸ばすと、中津川が流れている。その川沿いの歩道を下って行くと1軒の古風な喫茶店が見えてくる。M氏の予定ではそこであんパンを食べことになっていた。

店を覆っている緑が眩しいくらいに目に染みる。ぼーっと佇んでいるとジブリの物語の世界に迷いこんだかのような錯覚を覚えるくらいに雰囲気のあるカフェだ。お店の前にちょっとしたテラスがあったので、今回はそこでティータイムと洒落こむことにした。アイスコーヒーを注文する。その受け役は先ほど買ったあんぱんだ。(了承を得た上で持ち込んでいます)

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ぎっしり餡が詰まっている。頬張ると「あ〜これこれ」と言いたくなるような懐かして素朴な味。皮もほどよい固さで、黒糖を使っているのか生地自体にもほんのり甘みがある。噛めば噛むほどその控えめ甘みが癖になりそうだ。お茶うけには最適のパンである。使っている小麦は全て岩手県で作られたものを裏にある工場で製粉しているんだとか。添加物を使ってないというのも特徴でオーガニック好きには一度食べてほしい優しさに溢れたパンである。

ロシアビスケット(クルミ・レーズン) 612円(生食普及会)

こんなに固いビスケットは食べたことがない。角度が悪ければ前歯が折れそうなくらいだ。無理して歯で割ろうするのではなく、煎餅みたいに手で割ってから口に放り込むのが正しい食べ方かもしれない。
味は絶品。嫌らしい甘さは一切なくて、噛めば噛むほど甘みがしみ出してくる。添加物を一切含んでないので体にも優しそうだ。ちょっと値段は高い気がしないでもないが、食べてみれば納得のビスケットである。

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ふと川沿いに目をやる。当日は好天に恵まれ気持ちよさそうに川沿いを散歩している人も結構いた。気温は30度近くまで上がっていてたが、湿度は少なくカラッとしている。そこにほどよい風が吹き抜ける。更にはこの季節には珍しい入道雲まで顔を出して最高の散歩日和であろう。そんな絶好のロケーションの中、オープンテラスでアイスコーヒーとパンである。しかも平日の午前中である。通りすがりのサラリーマンが嫉妬の目線を寄せるくらいに至福の時間を過ごすことができた。コーヒーもさることながらこの景観を見る為だけに来てもハズレはない「持っている」喫茶店なのであった。

街の中心部通り過ぎ、一路西へと向かう。次の目的地は4月にオープンしたばかりの大型パン屋さんだ。

3,コシニール 盛岡ツタヤ店

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野菜、果実から起こした酵母を使った天然酵母専門店。
交通量の多いツタヤに併設しているので気になっていた方も多いのではなかろうか。盛岡ツタヤ店というくらいだからチェーン店なのだろう。普段は大型パン屋さんなどいかないから、店内に入るとその物量の多さにまずは驚いた。それから昼時とはいえお客さんの多さにも。オープンしたてということもあり店内は清潔感がある。また、壁が全面ガラス板ということもあって非常に明るく、店内の様子も外から把握できるので入りやすいパン屋さんだ。

メロンクロワッサン

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クロワッサンに上にメロンパンの生地をのせて焼き上げた新感覚なパン。外側は想像通りメロンパン。ただ注意して食べないと一瞬でテーブルが食べカスで汚染されてしまう。中の生地はふわふわというよりもしっとり、もっちり。ザラメがトッピングされていて非常に甘いが特徴。子供が好きそうなパンだが、苦手な人は結構いるかもしれない。かくいう私も後半はこの甘さにげんなりしてしまった。

サルシッチャ

とにかくソーセージが美味しい。ハーブが練りこまれているので風味も抜群だし、嵩があるので食べ応えもある。挟んでるパンも独特で、コシニールお得意のもっちり系。これは好き嫌いが分かれそうだが、個人的には新鮮で美味しくいただけた。まとまった量をガッツリ食べたい男性は是非一度食べておかれたし。ちなみに私にはちょっと多すぎたようだ。この時点でお腹は八部目くらいには達してしまっており、この先のパン屋巡りが思いやられる。

プロッコリーとトウモロコシのアンピョビピザ

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もちもち食感の生地にプロッコリーとコーンの甘さが際立つ手の平サイズのピザ。女性や子供にも食べ易い優しい味。

クルミとチョコのブラウニー

クルミの香ばしさとチョコのしっとり感が際立つ、粗めにカットしたクルミは個人的に嬉しい。

どのパンもハズレがなくクオリティが高い。ピザ、ブラウニー、塩パン、菓子パン、惣菜パン、ハード、スイーツ・・・とにかく種類が豊富なので何度足を運んでも楽しめる。さらに店員さんも元気で応対も好感が持てる(わりと重要)。総じてチェーン店とは思えないほど全ての点においてハイレベルなパン屋さんであった。

4.ワーク小田工房

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福祉施設に併設している珍しいパン屋さん。盛岡の自転車乗りにはあまり知られてないであろう、ノスタルジックなルート沿いにひっそりと佇んでいる。ちなみにこのルートは46号(交通量が多い)の横の通りとは思えないほどに田園甲子園だ。距離的には短いが、密度は濃い。
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このエリアに入るとコントラストが急に強くなって視界の四隅の光量がクンッと落ちるような気がする。見える景色と言えば田んぼと林と山。まるでグリーンのフィルターを間に挟んでるかの如く、緑がまぶしく感じる。結果的には遠回りになるが、それでも走りたいと思わせてくれるオススメのコースだ。心が洗われるんだぜ!

話がそれたがそのルート沿いにあるのがワーク小田工房。今回ハード系がまだだったので、ノアレザンを買ってお店の前で一切れ、残りは持ち帰ることに。

ノアレザン

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クルミとレーズンが入ったカンパーニュ。見た目はハード系のパンだが、咀嚼した時の香ばしいクルミとフルーティなレーズンの組合せはくせになりそう。ちなみに帰宅した後夕食のお供にと、トーストしてクリームチーズを塗っていただいた。お口の中がとっても幸せなパンでした。

46号を秋田方面に進み、雫石に入る。最後の行き先は雫石駅近くにあるパン屋さん。

5.雫石パン工房ネージュ

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店内はそこまで広くはないが、お洒落で落ち着いた内装。イートインスペースもある。事前の聞き込みよるとここで女子会も開かれるそうだ。なるほど女性が好きそうなお店である。さらに店内を見渡して見るとなんとソフトクリームの文字があるではないか!I got it!実のところ、道中お腹がみっちみちで次のパンを食えるだろうかと不安だったのだ。これ幸いということでそちらを食べることに。パンの方はM氏にお願いした。

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暑い日のソフトクリームは当然ながらうまい。トッピングのナッツも悪くない。
M氏に目をやるとなんとカレーパンを買った模様。

牛すじカレーパン

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こんな暑い中にカレーパンなどと正気の沙汰か!?と驚きを禁じ得ずにはいられない。食べ始めてから少したつとM氏が唸り始めた。そして、しきりに首をひねっている。だから言ったであろう。もともと暑い日に熱い食べ物、もしくは辛いものを食べること自体に私は否定的だ。わざわざ自ら汗をかきにいく神経が信じられない。
「・・い」
聞き取りづらいが、どうやら「うまい」と言っているらしい。
どれどれと一口だけと自分に言い聞かせて食べてみると、たしかにうまい。というか凄く美味しい。もしかしたら今まで食べたカレーパンの中でもトップクラスに入るんではなかろうか。もう一口食べてみる。カレーフィリングと生地との間に丁度いい空洞が作られており、軽い食感と歯切れの良さを実現している。最終確認のためにもう一口ほおばる。やっぱりそうだ。具の牛スジカレーも辛すぎず私の好きな味だ。変に油っぽくもない。カレーパンはあまり食べない方だが、今まで一番美味しい。これは当たりであった。いやいや、暑い日にカレーパン、悪くない組み合わせでした。すいません。

さいごに

いかがでしたでしょうか。今回はタイトル「パン活」とつけましたが、やっぱり既に考えられている方いるんですね。グーグルで検索すると大量にヒットしてちょっとがっかり。それから冒頭のイラストはS氏に少し手伝ってもらいました。ありがとうございます。
次回はもう少し足を伸ばして花巻のパン屋さんに行きたいと思っています。M氏さんいかがでしょうか。

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